暴論2-3 結局、住大夫師がキーパーソン

文楽にアニメ作品をもとにした新作で新風をもたらす――。

 

おおっ、と思う人もいるかもしれない。

 

しかし、やはりここで気になるのが、住大夫師の、例の宇宙人、宇宙船容認発言である。実は本音ではなく、あくまでリップサービスなのではないか。そこが気になる。中堅に差し掛かった弟子の文字久大夫氏にさえ今なお稽古中叱り飛ばすほど厳しいという文楽界の第一人者に、誰が

 

ファン層拡大のために、若手で新しい作風の新作をやらせてください

 

なんて許可を求められるだろうか。真に受けて聞いたら「どあほ」と一喝されやしないか。

 

もっとも、文楽界の他流試合的?な新作としては、昨年、苦境にあえぐ文楽界を見かねた売れっ子脚本家の三谷幸喜氏が、「其礼成心中」という作品を書き上げ、若手豪華メンバー

 

竹本千歳大夫 豊竹呂勢大夫 豊竹睦大夫 
豊竹靖大夫 鶴澤清介 鶴澤清志郎 鶴澤清丈'
鶴澤 清公 吉田 幸助 吉田 一輔 吉田 玉佳 
桐竹 紋臣 桐竹 紋秀 吉田 玉勢 吉田 簑紫郎
吉田 玉翔 吉田 玉誉 吉田 簑次 
吉田 玉彦 吉田 玉路 吉田 簑之

 

で上演に至った例がある。ただしこれは三谷幸喜というビッグネームが一肌脱ぐ、ということだったから実現したことのように思う。

 

其礼成心中
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三谷 幸喜
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私も見に行きたかったが、即日完売で無念。

でも、こういうのが完売する時点で、文楽にはまだ力があるように思うんだけどね。(でも、東京公演だから割り引いて考える必要があるか。)

 

だが、良く考えてみると、実は、住大夫師の身近に、漫画・アニメ界で活躍する身内がいることに気付いた。師匠の孫である、脚本家の岸本みゆき氏である。

 

バディスピリッツ(1) (ヒーローズコミックス)
岸本 みゆき
小学館クリエイティブ (2012-10-05)

 

 

 

 

住大夫師の例の発言が、すでに岸本氏の影響を受けてのものならば、問題はない。だが、仮にそうでないとしたら、「アニメ・漫画作品の翻案による文楽の新作プロデュース構想」について、文楽界の第一人者に了承を取るには、岸本氏の力(口添え)なしにはできないのではないか、という気がするのだ。