暴論9 庶民は文楽茶寮でメシを食わない

大阪に限らず、東京の国立でもそうなのだが、文楽鑑賞で疑問に感じることの一つが、食事休憩である。

 

せいぜい、30分程度。忙(せわ)しなくはないだろうか。

 

もちろん、弁当を買って、劇場内で食べるならば、ちょうどいいのかもしれない。あるいは、大阪でいう文楽茶寮ならば、休憩時間を見計らって食事がスタンバイ しているから問題ない、ということか。(私も、友の会会員になった直後、割引券をもらったので1回だけ使った。コスパは…微妙だよね)

 

むろん、興行という意味では、鉄道会社の長距離列車が切符代だけでなく社内物販で稼ぐのと同じように、観劇代+物販収入をあげることは大事だ。だが、プログラムを売るのと違い、食事は、劇場外の選択肢があってもいい。それでこそ、劇場周辺の店も潤う。共存共栄の劇場城下町が成立するというものだ。

 

しかし今のままでは、劇場外での食事をさせない、と言わんばかりのタイムスケジュールではないだろうか。当然、劇場周辺の飲食店との連携なんて、図られていないだろう。

 

(もっとも、近隣のコンビニ店主は、学校の運動会日程を調べて商品発注を変えるのと同じように、文楽公演日程をしっかり調べて対応しているに違いないだろう。でも、飲食店主は、そこまでやっていないと思われる)

 

この話をすると、決まって、日本橋(島之内?)周辺は、ラブホやらが散見され、文化都市ぽくない、皇居を目の前にした半蔵門(国立劇場)とはえらい違いだ、といわれる。食事環境より前に、まずは浄化すべきはそっちやろ、という意見が飛んできそうである。

 

が、 高尚なことをいっても、あくまで文楽は発祥が庶民の芸術だし、演じられてる中身は「お金で女を買う、身請けする」という世界なわけである。そういう大人の世界を、味わい深く鑑賞するのだから、むしろ生臭い日本橋にあってもいいんじゃないか、と、私などは逆転の発想で思ったりする(笑)。

まあ、それはともかく、話を食事に戻して、文楽劇場の周囲で、食事をということなると、皆さんはどうしているだろうか。

 

私は、3部制の場合は、午後2時過ぎから遅めの昼食をとることにしているが、2部制の場合、昼の30分休憩に、文楽劇場隣りのたこ焼き屋に入ることにしている。

 

もともとは、高速を渡った向かい側のココ一番屋に行っていたのだが、大阪まで来てココイチはないだろう、と思うようになり、たこ焼きに切り替えた。

 

吉野家ではないが、「早いのうまいの安いの」なので、短時間休憩のときは助かっている。

一方、1時間ぐらい時間に余裕があるなら、しっぽりとうなぎなんかもよいと思う。時間が合わずなかなか入れないが、「おかやま」はお勧めだ。

もともとは、劇場から、ココイチ(高速を挟んだ道の反対)側にわたって、日本橋駅方向に歩いていく途中にあったのだが、通り側の店入り口は閉めてし まい(店舗を分割し、別の店になった)、黒門市場に入る途中の脇道、つまり大通りの一本裏側の道からしか入れないようになってしまった。分かりにくいが、 先日、なんとか店には入れた。

 

こういう店を、粋な文楽観賞者は贔屓にしてもいいと思うのだが。

 

ただ、21時に公演が終わって入ろうとすると、店が閉まっているのだ。こういうところを、もう少し、劇場と、外の「城下町」が連携できないか、と思うわけである。