文楽ゆかりの地、大阪日本橋。
世間的に、「ポンバシ」は、むしろいまでいうでんでんタウン、つまり東京の秋葉原と並ぶ西の電気街というイメージが強いかもしれない。
だが、宝塚歌劇ファン(特に東京在住の)間で、兵庫県宝塚市の本拠歌劇場は、ムラと呼ばれ、「ムラに(観に)行く」という言葉があるくらいなことを考えたとき、文楽も、東京のファンをポンバシ「ムラ」に吸引する努力がなされなければならない、と思う。
ま、私自身がっつり大阪に通っている人間だけに、東京が激混みで大阪に空席が目立つ現状を見るにつけ、大阪の文楽関係者には不本意かもしれないが、大阪周辺の文楽人気を盛り立てようとするより、東京のファンを連れ出す策を考えたほうがよいのでは、とすら思うのだ。
たとえば、曽根崎とか忠臣蔵とか、「鉄板演目」を敢えて東京で封印し、大阪のみとする。(見たければ、大阪に来い!)
(現在もありえることだが、)東京公演には人間国宝の出演(=東京出張)を控える。
とはいえ、演目だけでは、お金と時間を考えるとなかなか東京人は動くまい。
そこで、旅行パックの面からも、誘客策が必要であろう。
その意味で、大阪公演のパンフにいつも登場する、シェラトンホテルの文楽宿泊パックの広告をみるにつけ、いつもゲンナリするのは私だけだろうか。
1等観覧券+1泊+朝食でシングル19000円、ツイン14000円。
もちろん、シェラトンホテルの格を考えれば得なんだろう。が、そもそも1等観覧って、1~2部両方のチケットをくれるのだろうか?友の会だとさらなる特典はないのか?などと疑問だらけである。
いや、そもそもホテル宿泊だけの旅行手配は、今はやりのダイナミックパッケージじゃないが、割が合わないということを理解したほうがいい。それが、ゲンナリの理由である。
ちなみに私は、大阪に出張る際は、某旅行会社の新幹線ビジネス出張パックを使っているが、往復のぞみ利用の大阪市内ビジネスホテル、シングル素泊まりで、26000円を切る旅行企画を多数知っている。26000円といえば、東京・大阪間の新幹線往復代金より安いなんてことも起きる。
つまり、最安では26000円と文楽チケット2部制10000円弱で文楽旅行に行けるということである。が、文楽協会のてこ入れで、東京からの参加の方には、さらに別途割引なり特典なりを作ってはどうだろう。
首都圏では鉄道のプリペイドカード(イオカード、パスネット)が何年か前に廃止になったが、関西では「するっとKANSAI」が現在も活躍中。しかも、関西以外でしか買えない(関西以外からの旅行客用の)2日券、3日券を売っている。
そういう、誘客策が必要なのだ。
シェラトンホテルだけでは、少々心許ない。というか、庶民の芸能である文楽には、シェラトンは少々敷居が高いかなという気がするんだよね。
(勝手な想像だが、おそらく生活カツカツの技芸員も、東京出張時はビジネスホテルを使ってるんだと思う)