暴論2-2 文楽に3代目市川猿之助はいないのか?

さて、ここでは、文楽が生き残るために、文楽の中身を変容させてはどうか、という暴論2の続きをしたい。

 

ただ、そういう話をすると、伝統破壊であるとして、あからさまにいやな顔をする人もいるようだ。

だが、文楽だって不変なものではない。

 

近松の時代は一人遣いで、後に三人になり表現力向上が図られたというし、江戸時代から上演されている作品だって、床本はあっても、曲については一時断絶し、三味線は後世(昭和以降)の作曲であるものもある。

 

すべてが伝統の完全継承などではないのだ。

 

そこで思うのが、タイトルにあるように、歌舞伎の3代目市川猿之助のような果敢な試みを行う人はいないのか、ということである。

 

3代目猿之助(現:猿翁)は、1986年から、現代的演出を取り入れた「スーパー歌舞伎」に取り組んだことは有名。

 

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そう、文楽でも「スーパー文楽」をやればいいんですってば。

 

もともと、文楽自体が、「大星由良助」とかいってパロディ精神満載なわけで、SF、ファンタジー、同人誌、オタクというキーワードにヒットする要素が満載のはず。

 

当初は賛否両論あったが、少女マンガ「ベルサイユのばら」が宝塚で上演され、今では、文楽でいう「曽根崎心中」のごとく「鉄板」演目になっている。また、近年では有名なロボットアニメ「機動戦士ガンダム」の有名シーンが講談師によって語られるご時世でもある。人形浄瑠璃の世界に、アニメを持ってくることは、何ら不思議はない!

 

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私の勝手な構想は以下のとおり。

 

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ロボットシーンの演出がどうか?むしろ、「女殺油地獄」のように、人形だからこそ生身の人間にできないようなアクロバティックな動きが可能で、良いのでは。人形≒ロボットという近さもメリットだと思うなあ。飛び道具だけじゃなく、ちゃんと剣ももってるし。

あるいは、最終回のアムロとシャアの、人間同士のチャンバラシーンでもよいかと。無重力戦闘シーンなんかも人形だからできる。

語りは義太夫でよいとして、アニメ音楽にツレ引きの太棹三味線が挑むのも、ぜひ聞いてみたい。

 

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ガンダムに比べると一般的知名度は劣るが、一部マニアには根強い人気の、永野護の漫画・映画作品。ロボットものでもあるが、もともと剣を持った騎士どうしの人間ドラマのほうに重きが置かれているから、名シーンを抜き出して「○○の段」とか、やってほしい。超人的な動きをする描写が多く、やはり人間の演劇での舞台化は不可能なので、ぜひ人形でやってほしい。

 

ほかにも、、、あげればきりがない。ただ、そういう想像をするだけでも、かなりわくわくする。決して、文楽には未来がないとは思えないんだよね。

 

問題は、江戸時代と違うので、原作者から翻案化の許可がとれるかどうかだ。でも、伝統芸能への貢献でもあるし、そもそも古典をアニメ化することはあっても、その逆はまったくないので、作者も光栄に感じてくれて、OKしてくれるんじゃないだろうか。

 

文楽側としても、そもそも、江戸時代の世話物が、今でいうワイドショーの「事件再現映像」みたいなもので、新しきことを作品に取り入れてナンボ、なのだから、その心意気を忘れるべきではない、と思うんだけれども。

(なお、社会事件の再現を文楽で行うことは、現代では人権の観点から不可能だろう)

 

そして、もし万が一、そういった新作の構想が進むようなことがあれば、やはり三業は30代のガンダム世代の若手公演でお願いしたい。

 

それこそ、若手プロデュースによる「スーパー文楽」が出てくるようでないと(それで新たなファン層を獲得できるくらいでないと)、文楽の将来は危ういように思う。

 

などと考えながら、一つ思い出したことがある。結局、住大夫師に頼めばいいのではないか、と。そのあたりは暴論2-3で。